特に休日が一年で9日と、休日が非常に少ない米国では、年末のホリデーシーズンは特別なものです。
10月のハロウィン位から気分の盛り上がりが始まる訳です。
特に休日が一年で9日と、休日が非常に少ない米国では、年末のホリデーシーズンは特別なものです。
クリスマスは日本ではカップルがお泊りする日ですが、アメリカでは家族が集まる、日本のお正月に近いんですね。
日本のお正月も特別なムードや匂いがあるように、アメリカのホリデーシーズンも時期は特別なムードが溢れている訳です。
まさに、アメリカ人の一年で最も幸せな期間です。
しかし。。。
クリスマスはクビの季節。ホリデーシーズンに訪れる悪夢。
そんなサンクスギビングやクリスマスは実はクビ(解雇)のシーズン、
家族で楽しい筈の休日が悪夢に変わります。
一年を通して働いて、年末笑顔を持って帰って来るお父さん。
・・の代わりに、お父さんはデスク回りの私物が入った段ボール箱を抱えて帰ってきます。
真っ青な顔をして。
実は、サンクスギビングで休む前日、クリスマスで休む前日に呼び出され解雇されるケースが非常に多いんです。
楽しい筈のホリデーは悪夢に変わります。
セベランスと雇用保険で2,3か月分の給料、そしてその後も雇用保険が出るものの、最低限の生活しか保障されません。
リストラが頻繁に起こる!アメリカ企業と外資系の解雇の実情とは!
一般のアメリカ人家庭は同程度の給料だとすると、日本よりも少し苦しめな生活を送っています。
高い家のローン(5%-10%利息)、法外に高いが払い続けないといけない医療保険(月数十万円)、そしてアメリカは世界一教育費が高い国です。
これらを支払うために皆Rat Race、ネズミのレースの様に生きていますが、早くに給料と言う源泉を取り戻さないと、家の没収(foreclosure)や破産(bankruptcy)になってしまいます。
Rich Dad Poor Dad 金持ち父さん貧乏父さん。英語原文レビュー
焦る気持ちと裏腹に、このホリデーシーズンは全て企業活動がストップし、採用関係は全てストップしてしまいます。
会社の採用担当は、家で家族をエンジョイしていますから、応募しても返事が来るはずもありません。
仕事が無く、恐怖に震えたままで、年始まで待つしかないのですね。
そして、年が明けたらやっと採用担当がたまった履歴書に目を通してくれますが、ホリデーシーズンに職を失う人が多いので、履歴書も山積みです。
仕事を勝ち取るのも大変です。
そういう私も、サンクスギビング前に突然クビを切られて地獄を味わいました。。。
何故ホリデーシーズンに切られるのか
何でわざわざそんな酷い事をするのか?
多くの会社が一月~12月を会計年度(Fiscal Year)としていて、新年1月から、クリーンなフレッシュスタートを切りたいのですね。
だから、切りたい社員は新年の社員名簿に載る前に切っておきたいんです。
*会社には四半期決算もありますし、7月~6月にfiscal yearを設定している会社もあるので、実は6月もそれなりに解雇の多い季節です。
しかし、年末の様に全ての会社、機関が泊まってしまう訳ではないですし、何よりも、全てを暗黒に変えるホリデーシーズン解雇のインパクトは凄いので、とにかく年末の解雇が目立つんです。
そんな悲痛な事。。どうしたら良いの?アメリカ人はどうしているの?
〇常にクビのサインを疑って警戒しています。危険を感じたら転職活動に走ります。
解雇が突然来るアメリカ社会、常に皆警戒しています。アメリカ人にはっぱをかけたり、業績向上を促したりすると、スッと辞めてしまうのはこういう理由です。上長が100%満足以外の事を少しでも言うと、「クビへの危険信号かも知れない」と受け取るのですね。
〇「ケツ舐め」を怠らない
上司や偉い人に常におべっかを使う事をkissing ass (お尻の穴にキスをする)と言います。そこから、おべっか使いの人の事をbrown nose(茶色い鼻)と言います。いつもお尻にキスをしていると言う事は、鼻がいつも肛門に触れているので、茶色くなりますね。
これを日本語で「ケツ舐め」と言っていますが、この様にいつも上長の「お尻を舐める」事で仕事をキープしようとします。
〇常に探し続ける
こういうリストラは解雇当日まで従業員に秘密裡に行われますので、いつ起こるか分かりません。ですので、大半のアメリカ人がいつでも履歴書をアップデートし、いつでも仕事レーダーは働かせています。働いていても、一年中職探しを続けているようなものです。
〇ネットワークを怠らない
知り合いからの紹介が、雇用側も安心して雇えるので、一番良い転職方法です。クビを切られた時にいきなり疎遠だった知り合いに連絡をする訳にもいかないので、アメリカ人はセッセと知り合いとのネットワークを保ちます。FacebookやLinked-inといったアメリカのSNSもこういう目的で使う人が非常に多いのですね。
この様に、アメリカ人は表面は堂々としていたとしても、水鳥のように、水面下では足を高速に水を掻き続けているのです。
ほとんどの日本人やアジア人が、この水面下の戦いに気が付かず、無防備なまま首を切られてしまいます。
日本でも外資系は同じです。
水面下で足を掻き続けなければ生き続ける事は出来ません。
澱んで濁った日本社会。。それでも
日本の会社は澱んでいる。
若くて優秀でも給料は低く、仕事の出来ない「ぶら下がりおじさん」が多く給料を貰っている。
能力給なんて言っても、結局は年功序列。
でも、アメリカでの本当の意味での実力主義、年俸制はこのような悲惨な側面もあるのです。
スポーツ選手の様に莫大な年俸を貰っていれば、こういうリスクはあっても良いかもしれませんが、ちょっと高い位の給料ではやってられませんね。