
日本人が(特に日本企業での経験者)がやってしまう幾つかの間違い、認識の違いがあります。結構前衛的な人でもこういう傾向をもっている人は多いので、変な所でマイナスイメージを与えてしまわないよう、典型的な6つについてみていきましょう。
- Strong Work Ethic 凄く働きます!
- それは出来ません。と誠実に言う
- 自分の価値の幅を売る(横移動があると思う)
- 何でも出来るは悪印象
- Loyalty会社への尊敬、忠誠心
- 希望給料を聞かれた時、「お任せします」と言ってしまう
日本人がやってしまう米国企業面接での間違い
Strong Work Ethic 凄く働きます!
凄く働く!凄い勢いで働く、事をStrong work ethicと言います。もちろん、企業側も、会社がピンチのとき、どうしても乗り越えなければならない山がある時は、深夜休日を問わず働いてくれる人をありがたいと思います。
「深夜休日は契約に無いから」と土壇場でも帰る人よりも全然良いです。
しかし、いつもあまりにも働きすぎる位働いているのも、会社としては(訴訟のリスクを考えても)あまり推奨したくはありませんし、良しとされる考え方に、Work smart, not hard.というのがあります。「闇雲にハードに働くのではなく、利口に働いて、同じ成果を出そう」という物です。ですから、闇雲にStrong work ethicをやられるよりは、履行に同じ仕事の質と量を出して欲しいと思っています。
これが、スタッフであればまだ良いのですが、マネージャークラスになると、問題になってきます。マネージャーは利口に部署やチームを回すべき存在ですから、いつも課題をStrong work ethicで解決しようとする人は問題です。
日本人には良く働く人が多いです。そして米国で働くというのを目指したり、たどり着いたりする人は凄く頑張ってきたのだと思います。
でも、それがいつも必ずしもプラスになるとは限らない事を忘れずに。
それは出来ません。と誠実に言う
面接で「○○は出来ますか?」という問いに対し、「出来る」と答えるアメリカ人、実際に雇って見たら「出来ない」事が解ったと、海外で米国人を雇う日本人が嘆いています。
日本人の考え方としては、対象の仕事に対して、経験があり、成果を保障できなければ、なかなか「出来る」とは言わないカルチャーがあります。
これをアメリカ人だったら、よほど絶望的だったり、生理的に受け付けなかったりしない限り、「出来ます」と答えます。
例えばマネージャーの仕事があるとして、それには表計算単位での人月計算が必要だったとします。面接官が「表計算単位での人月計算をうちではしているが、出来ますか?」といわれたら、アメリカ人だったら100%「出来る」というでしょう。「でも貴方は経験がありませんよね?」と言われたら、「私の○○の経験を柔軟に使えば、それはカバーできる」の様に、仕事に求められる基準を満たすために、自分の能力と才覚で「何とかできます」と保障するのです。
企業の面接官は募集しているスポットの仕事を満たして欲しい、満たす力があるかどうかを見ていて、全く同じ経験の有無の確認をしているわけではありません。
これを日本人が、誠実さをアピールするつもりで、「出来ません」というと、「経験の無いパートに対して拒絶した」と写ります。
その仕事に必要な、でも経験の無いパートを拒絶する応募者にその仕事を任せようとは思いませんので、応募者としては誠心誠意答えたつもりでも、米国企業面接官からしてみれば、「ガッカリ」な答えな訳です。
こういう時は、「ピッタリ同じ仕事をした事は無いけれど、私のこういう能力をもってすれば、しっかり職務を果たすことが出来る」というべきです。
Although I do not have exact experience that you mentioned but with my OOO experience, I would accomplish missions that the job entails.
何でも出来るは悪印象
日本人は何でも出来る人(ジェネラリスト)が多いです。そもそも、学校のシステムが「基礎を理解する事によって、経験が増えたときにより大きく展開できる」という考え方に基づいています。
また、仕事の中でも、フレキシブルに動いて物事を実現する能力が美徳とされます。
そのような背景から、優秀な人は得てして、あれもこれも出来て、あらゆる事に対応出来る人です。
しかしアメリカは学校のシステムから専攻をきっちりと決めることから、職業訓練の匂いが強く、また職場環境でも、違う能力を持った人がパートを担い、協力していくシステムになっています。
この環境の差から出てくるのは、平均の人のレベルは日本人の方が上です。勤勉ですし、基礎の理解があるので、フレキシブルに展開できるからです。
ただ、とても優秀な人材は米国人の中に見ることの方が多そうです。一つの専門に集中できるシステムもありますし、優秀な人が米国に集まってしまうという事実も有ります。
こんな事から、何でも出来る人 = 何も飛びぬけては出来ない人 という印象が強く、何でも出来るという事をアピールすると、比較的ネガティブに受け取られます。
「自分の専門をしっかりとあり、それを引き立てる為の幾つかのサブスキルがある」というのが良い感じの売り方です。
自分の価値の幅を売る(横移動があると思う)
これを読んでいる人は日本語が出来ると思います。米国ベースの国際企業で、日本にも重要拠点がある会社だったら、自分の日本語が役に立つと思いませんか?
米国ベースの会社が日本を題材としたプロダクトを製作している。当然自分の日本の理解を役立てることが出来ると思いますよね。
これは自然な事だと思います。しかしこれはほとんど起こりません。
私も最初の米国企業入社のときはそう思っていました。日本にも重要拠点があるし、製品について熟知している立場であったので、そちらに絡む部署変えや、出向など、機会はあってもおかしくないと思っていましたが、会社は私の専門職で雇ったのであって、日本とやり取りする際には、コーディネーションの専門を雇いたいのです。
製品に関しても同様で、別の米国企業で、あるエンターティメント作品製作の際、第二次世界大戦の際の米国と日本を描く作品がありました。私はそこで唯一の日本人でしたので、そこはいろいろサポートする事が出来るかなと考えていましたが、彼ら曰く「お前が心配する必要はない。何しろ我々は日本文化研究の第一人者と契約したから。」
と聞いたのですが、その方と会ってみてビックリ。日本語も流暢でない白人でした。彼が第二次世界大戦での日本人の言動、シナリオを用意したのですが、日本人として育った私には理解の出来ないくらいひどい物でした。
そんな事は解りそうなものですが、アメリカ人はその評価を専門でない私に聞くわけでもなく、専門家のその白人に監修させていたのです。
この話しから察してもらえると思うのですが、応募している仕事の専門以外を売ることにほとんど意味はありません。プラスには取ってくれないのです。
それよりも面接中に焦点をずらしてしまう可能性がありますので、ちょっとおまけに話すくらいにしておいたほうが良いでしょう。
反面、日系支社ではプラスになります。大体日系の会社は、職種は米国の様に募集していても、根は日本だからです。
仕事をつかむ為には役に立ちますが、米国で日系企業に入社すると、「現地採用日本人」になって「本社出向社員」とは生きる世界が全く違ってしまう事を理解しておきましょう。

Loyalty 会社への尊敬、忠誠心
日本では、転職採用を決めるとき、「どの位居てくれるのか」「すぐ辞めてしまうのではないか」という事が懸念されます。師弟伝承の事柄も、会社独特の文化も多く、仕事をスムースに進める様になるには、その会社への一定の勤続期間が必要だからです。
こういう傾向から、米国で仕事を探す日本人も、「御社に入社しましたら~」や「長く貢献させて頂く気持ちです」等の意志を見せる人がいます。
しかし、師弟伝承の技も独特の文化もそれほど強くない米国では、面接官もおそらく自分の専門を大事にしていて、人生の中でどのような会社に勤めたり、独立したりと自分の人生を設計しているでしょう。そのなかで、日本人から会社へのコミットメントへの覚悟を聞くと、「変」に感じます
また、一つの会社に留まる事を、「高みを見てチャレンジをしない怠け者」と見る傾向が強く、会社への忠誠心を語ると、ネガティブに写ります。
日本の環境で考えると、ドライに聞こえるかもしれませんが、今自分のキャリア人生の中で御社の特定のポジションが自分に適切なチャレンジである事、今までの経験からそこで成果を出せること、そして最終的には、どこが自分のゴールかをしっかりと語れると、会社への忠誠心よりは遙かにポジティブに聞こえます。
もしかしたら、面接官と意気投合してしまうかもしれませんよ。
希望給料を聞かれた時、「お任せします」と言ってしまう
自分が会社のアセットとして育っていくという考え方があるため、今の給料額やスキル、経験を説明した後、It is up to this company's decision.という方を何人かみかけました。
(米国日本支社に努める日本人が上長のアメリカ人に対して)
転職を志望しているのに、給料は会社任せというのは、動機が変な気がします。
しっかりと要求してこないというのは、自信がないからではないかとか、責任を負いたくないからではないかと取られてしまう危険もあります。
何よりも、キチンと責任も受け止め、給料もしっかり上げようという、普通のアメリカ人と違うのが「薄気味悪い」です。
かといって、沢山要求したら良いかと言ったらまた違います。会社によって同じ職種で給料額が違う日本に比べ、米国は転職が頻繁なので、市場が一定しています。
競争率を保つため、どんな企業でも、あまり給料枠に差がありません。
私はこんな風に答えるのが簡潔でよいかなと思っています。
generally competitive for the role.
その職(に求められるスキルや責任に対して)それなりに競争力のある額
-欲張りもせず、ただ、責任に対してはお金をもらう。また、同業に比べそれなりに競争力がある額が頂ければ、転職動機も慰める事が出来るという感じです。
また、現在の給料を聞かれたときには、話の流れからプラスになりそうな時には言いますが、そうでないときは私は避けています。日本の給料形態と結構違うからです。日本の給料から比べると米国の方が高いのが一般的ですし、また日本企業で駐在の方は、それなりの役職についているので、米国で転職を考えた時にダウンする可能性もあります。
現職の給料を言ったら、ひかれてしまう可能性もあるので。
Do you think that is really relevant?
それって本当に 関連がある事なのでしょうか?
I don’t think that is very relevant as the area of responsibilities were quite different.
それは仕事範囲がとても違うので、関連性がそれほどあると思わないのですが。
と答えて、市場正当額に持っていけばよいでしょう。
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