以前このサイトのタイトル絵の為に、gifアニメにして、同じ動きのループをするように作りました。
このバレーのアニメーションの作成方法を流れに沿って紹介します。
Blenderで作るバレーのアニメーション、演技付けから完成までプロセス。
参考資料が絶対大事!
まず、参考資料を探しましょう。
初心者の人はよく「参考資料なしで頭の中で作れないと本物じゃない」とか思うらしいのですが、経験のある人ほど、参考資料を参考にします。
絵でも、アニメーションでも同じです。
特に、バレーとか、日本舞踊とか、「型」があるものは特に、参考資料を大事にしないと、エセな物が出来てしまいます。
絶対に参考資料を集めましょう!
本当は自分で出来ると良いのですが、そうもいきません。
次に良いのは、プロの方に踊ってもらうのが良いのですが、お金のない我々はむつかしいです。
でも今はYoutubeや、他のビデオ素材がありますね。
YoutubeやVimeo、ニコニコ動画、ドキュメンタリーDVDなんかでも良いですね。
幾つも候補を出して、慎重に選びましょう。
参考資料作り方
今はYoutubeも "<" ">"でコマ送りが出来ます。これで参考ビデオフッテージ替わりにする事が出来ます。
でも、Youtubeのまま使っていると、ちょっと利便性が悪いので、OBS(無料)などのスクリーンキャプチャーソフトで録画するのも良いですね。
Open Broad Caster Software (OBS)
オープンソースで無料のスクリーンキャプチャー素材です。
録画したら、Blenderのvideo editing機能で必要な部分だけを切り抜くのも良いです。
mp4やmovなどのデータにしたら、再生には今の所、KeyframeMPというソフトがおすすめです。コマ送りもスクラブも自由自在、フレーム数も表示されます。無料でも使えますが、長期的に使う場合は、ライセンスを購入しましょう。
サムネイル
いきなりアニメートするよりも、まずはサムネイルに起こして、大きな計画を練っていきます。
サムネイルを作らない人もいますが、今まで見てきた中では、Pixar, Dreamworksで長編アニメをやってきた人はサムネイルをしっかり描く傾向があります。
ゲーム業界の人はあまりやりませんでしたね。
この中で、キーとなるポーズを選んでいきます。
一番極端なポーズ、赤い〇をキーポーズとして選択しました。
これで、大体全体のイメージが出来ます。
ループさせる
参考にするシーケンスが見つかったら、その中から、ループにする場所を見つけます。
前後を見て、うまくつながる場所を探さなければなりません。
私はサムネイルの最初のフレーム、ここにしました。
もし、うまくつながらない場合は、間を自分で演技して、ビデオカメラで撮って補いましょう。
アニメーターの部屋にビデオカメラは必須です。
モデルをインポート
なんでもかまいません。
今回はこのモデルで行きます
リグを設定
BlenderにはデフォルトでRigifyという、自動で骨組みを作ってくれる機能があります。
参照
人ではなく、犬ですが、基本組み方は一緒です。
しかし、Rigifyには致命的な弱点があるので、私は有料のAuto-rig proを使用しています。
Rigifyの弱点とは。
背骨を曲げる事は出来るのですが、コントロールが少なくて、背骨にSカーブが作れないのです。Cカーブになってしまいます。
右はAuto-rigで、Sカーブが作れます。
これは、ポーズの優雅さを作りたい時は結構致命的になってしまう事があるのです。
(鎖骨でコントロールする事も出来ますが。。)
Rotation Orderと、Inherit Rotation
ポーズを付ける前にRotation Orderを決めておきましょう。
(いつかこれを特集しようと思いますが)これは、3DCGでは避けられない制限で、XYZどれかの軸から計算をしていくので、最後の軸の回転が犠牲になってしまうというのがあります。
回転モードをGimbalにして、いろいろ回転して試して、XYZ, ZYXといった回転軸選択のうち、90度以上回らないものを三番目に持ってくると良いです。
悪い例Gimbal lock
こうなってしまうと、非常に扱いにくくなってしまうのです。
・このアニメでは、腰、背骨、首、頭はZXYEuler, 腕、足はYZXEulerにセットしています。
回転優先度 Inherit Rotation
肩や足は胴体に追従させてはいけません。
あばらが回転したときに、腕は一緒に回転してはいけないのです。足も然りです。
これを切っておかないと、後で微調整が出来ないので、切っておきましょう。
ブロッキングしていく
キーポーズを一つ一つ付けていきます。
この状態までは、カクカク動く様に出来ています。
この様にするには、全てのコントロールを選択して、Graph Editorで、全てのカーブと頂点を選択し、Key→Interpolation mode→Constantにしておくと、このようになります。
必要に応じて、Bezierに戻しましょう。
全て、キーポーズが終わったら、その中割り(ブレークダウン)をブロッキングしていきます。
こんな感じになります。
足と体重
キー―ポーズだけでは、足のステップをカバーしきれません。
体重移動とか、極端なポーズ以上に足は動くからです。
ですので、足はもっと沢山キーを打つ必要があります。
頑張って、足のキーを追加して打ちましょう。
Autorigには、かかとを軸に足(Foot)を曲げたり、指の付け根(Ball)を軸に曲げたりする機能が付いています。これはこれで便利なのですが、今回はバレーですので、足のつま先(Toe)で立ちます。
この場合、毎回しっかり足のつま先をコントロールする必要があるので、私はこういう風に小さいBoxを地面に置いて、足がどこに着くかをマークしながらアニメを付けています。
グラフエディターで動きを整えましょう。
グラフエディターの使い方はこちらに書いてあります
運動曲線、アークを作る
生き物の体は、空中を動くとき、必ず曲線を描きます。
これが崩れていると、ギクシャクした動きになってしまいます。
動きを目で見ているだけでは気づかないので、大事な場所はこのようにMotion Pathの機能を使って曲線を描いているか確認しましょう。
オブジェクトを用意する。
キューブとか、そんなんでいいです。
それを、Constraint→Parent Constraintで、Targetをリグに設定、Boneをそのリグの中の追従させたいBoneに設定します。(プルダウンの中から選べます)
そうしたら、Object→Motion Pathsから、スタートフレーム、エンドフレームを設定して
Culculateを押して、曲線を計算してもらいます。
この曲線を見れば、キチンと体の部所が曲線を描いているかが分かるのです。
手、足、頭の曲線を見るのはもちろん、クォリティーを高くしたければ、膝、肘、鼻、等の中間部位の曲線もチェックして整えます。
これで整えたら
Voila!出来ました。