英語でのコミュニケーションにおいて、ついつい日本語を英語に直して使ってしまいますよね。
外資系や日系子会社相手などアメリカ人や西洋人と働く時、フィードバックを返すのに、日本語をそのまま訳すとトラブルの原因になります。
通訳さんも、通訳責任があるので、必要以上の意訳はしない事が多いです。
知らず知らずにアメリカ人を愚弄する事を言っていて、問題に発展してしまう事が多いのです。
- これはあまり好きじゃないな
- これでは十分じゃないな
- 問題が幾つかあるね
これらをそのまま英語にしてしまったら、
- I don’t like this very much.
- This is not good enough.
- There are some problems.
こんな事をアメリカ人の仕事に言ったら、10人中10人が腹を立ててしまうでしょう。
だから、フィードバックはいつもgreat とか、Awesomeとか、ポジティブな事だけ言っていられたら良いのですが。。
残念ながら、あらゆるプランは模索して、磨かれて最終プランまでたどり着くので、「こうじゃない」と言って修正してもらう事がフィードバックの90%を占めるのです。
しかし、これを言ったとたんにアメリカ人の表情がかわって、一気にやる気が消えていきます。

日本人に対する不信感も高まり、効率はウナギ下がりです。
アメリカ人、西洋人にフィードバックするには、否定を否定に聞こえないように言う必要があるのです。
否定をせずに要求を伝える。この記事は私が長年アメリカの社会の中で見つけた、コミュニケーションを円滑にする、いわば極意です。
「良くない、問題ある」は禁句!英語で否定せず意見する方法。アメリカ人の意欲を保つには
これは好きじゃない
これは好きじゃないな。I do not like it. というとなんだか、子供が不平を言っている様に聞こえます。
これは私たちの望んでいたものではない。This is not what we are looking for.と言っても、超一刀両断で相手を圧倒してしまいます。
これは好きじゃない。をソフトに言うにはどうしたら良いのでしょう?
Not (really) a big fan of,
もの凄いファンな訳ではないけれど。
ファンは、アイドル等のファンと同じfan. 「好きじゃない」「嫌い」という直接表現を避けて、「そんなにファンな訳ではない」と言う事で、相手のアイディアも甲乙つけがたく悪くないのだが、自分はファンな訳ではないので、選択しない。と言う意味合いになります。
この表現を使う事でI don’t like itが、ものすごくソフトになります。アメリカの職場で使われる非常に人気のある言い方です。
I am not a big fan of applying buy-one-get-one-free concept for our new product.
私は、私たちの新しい商品に「一個買ったらもう一個ついてきます」商法を使うのの、もの凄いファンではない。
Not crazy about
そんなに惚れてない
I am crazy aboutとは「~がもの凄く好き」と言う、恋人の事をいう時の様に惚れている時に使います。この表現では、not super crazy aboutと言う事で、(相手の提案は十分良いのだが、)「寝ても覚めても愛してやまないほどではない」と言う事で、相当柔らかくしています。
I am not super crazy about the idea.
私は、その提案について寝ても覚めても愛してやまないほどではないなぁ。
Not passionate about、Not keen on
そんなにその“方向性や物”に情熱を持っていない。
上の二つと同じように、「その物に(それほど)情熱を持っていない」という事でソフトにしています。
I am not passionate about going family-friendly direction.
ファミリーフレンドリーな方向性にはあまり情熱を持っていないなぁ
Not (so) sure about
そんなに確かではない。
(其れで良いのか)確かではない、確信が持てないという表現で、貴方の持ってきた提案に対して、どうも確信が持てないなぁ=賛同できない という意味です。
I don’t like it.に比べるとソフトにしてあるものの、上の4つの表現と比べると、譲歩があまりなく、強めの否定の響きがあります。
I am not so sure about that idea.
そのアイディアには賛同しかねるなー
Superについて
VeryやReallyを使うのが普通ですが、Superを使うと、さらに物凄いと言う意味なので、より緩和出来るんですね。言葉が少し子供っぽいのでお道化た感じが若干出ますが、大人同士の会話に不適当なほどではありません。
ソフトに問題点を指摘する
日本語のフィードバックでは、「これらの問題を解決してください」というのも良く出てきます。直訳してしまうと、Please solve these problems.となってしまいますが、英語圏の人はこのproblemにはとても敏感です。
日本語の「問題」には試験問題などにみられる「謎」というニュアンスが強いのに対し、英語のproblemは「欠陥」のニュアンスが強いのです。
Problemを緩和して、issueとしても欠陥のニュアンスがまだ残っています。
治して欲しい箇所を指摘する際にはproblemを避ける、issueも出来るだけ避けるようにしましょう。
Few concerns
幾つかの懸念点があるのですが
Problem やissueではなく、幾つかの(解決したい)懸念点がある。という事で、必ずしもproblem(欠陥)ではなく、揉んで解決できるであろう懸念点という風に伝える事が出来ます。相手も、「それを解決しよう」と言う気になるってもんです。
Overall, I like it. I just have few concerns that I want to square away.
全体として気に入っている。いくつかの懸念点があるので、解決したい
*I like it(ポジティブコメント)の後に、Butや逆説を使っていないことで、裏返ってネガティブにしていない所に注目です。ついついBut…と言いたくなってしまいますが、頑張ってこらえましょう。

Not sit well with
しっくりこない
(ある個所が)私と上手く座らない。のですから、しっくりこないとなります。否定している訳ではなく、上手く合致していないだけなので、入れ替えたり、改善する余地がある訳です。「〇〇が悪い」というよりもずっとソフトですね。
There is something does not sit well with me.
何かが私にしっくりこないのだが。。
This doesn’t sit well with other notes.
他の明記とここは合っていないね。
何て言う風にも使えます。
Culprit
容疑者、原因の疑い
「問題」や「違和感」と言った明らかなネガティブを使うのではなく、「容疑者がいる」「原因の疑いがある」とする事で、「全体を良くするためには完璧に調和してい居ない所がある」というニュアンスになり、相手や仕事そのものを否定するトーンがほとんど無くなります。
物凄く頻繁に聞く表現ではないですが、あるアメリカ人が使っているのを聞いて、「これは使える!」と思った表現です。
英語を使う人には絶対に理解できますし、「調和していない所を解決しよう」と言っている訳ですから、何ともポジティブな表現方法です!
There must be a culprit that is keeping this document from shining.
このドキュメントを十分光らせない容疑者(疑わしい原因)がこの中にあるはずだ。
This may be a culprit making this story rather dull.
ここがこのストーリーをつまらなくしている容疑者(原因)かもしれない

どうしたいか既に分かっていて、直してもらう
Can (could, will, would) be nicer(stronger, improved) if
もしこうなったら、もっと良くなる。
どうして欲しいのか、わかっていたら、ネガティブな事を言わずに治して貰えます。もちろん、will you fix ~と言ったり、will you improveと相手を主語にして直接言うよりも、対象物を主語にして、This could be improvedとした方がずっとマイルドになります。
You did a great job. It could be stronger if you add industry statistics.
良い仕事をしたね。もし業界の統計データを足したらもっと強くなるよ。
ネガティブな表現も、Butなど逆説も使わずにフィードバックする事が出来ました
Will(would) regret if I didn’t ~
もし~をしなかったら、後悔するだろう
と言って、上手く要求をやってもらう言い方です。
Well done. I will regret if I didn’t request you to explore further revision on third chapter.
良い出来だ。もし今、チャプター3の再改定をお願いしなかったら、私は後悔するだろう。
Gave me a hint (idea, clue) that
ヒントをくれた。
今君のくれた仕事が私に(さらに良く出来る)ひらめきをくれた。
提出された仕事では使えないが、かといって「やり直し」というのは嫌だ。そこで、今提出された仕事がひらめきをくれたので、ちょっと反映してみてくれないか?という事で仕事が不採用だったというネガティブイメージを避け、よりよい物を作ろうと言うニュアンスに変わります。
Your work gave me a hint (an idea) that we could actually change the theme.
君の仕事が、私たちはテーマを変えても良いんだと言うアイディアをくれた。
日本の方から出てきそうな質問

はい。。そうです。

でもアメリカの会社は会社内で従業員を育てません。
成長しないから、会社の中で使いにくくなってきたら、”入れ替え”をするので、問題無いのです。会社のお金を使って育てて他に行かれてしまうよりもずっとコスト対効果が高く合理的なのですね。
日本人はここまで合理的ではないですが、アメリカではこの様に物事が動いている事を知っておくと、馬鹿を見ないで済みます。