
日本語はとにかく沢山「すみません」と使います。人に道を聞くのにも「すいません。」誰かのお宅にお邪魔するのにも「ごめんください。」席を詰めてもらうのも、「すみません。」
普段沢山使うので、英語にしたときに、日本人はI’m sorry.を使ってしまう傾向があります。
しかし、アメリカではI am sorry.はあまり使ってはいけない言葉です。
自分が悪かった時でさえ、いやむしろ悪かった時にこそ使ってはいけない言葉なのです。
アメリカでは言ってはいけない、I am sorry. 言い換え表現
アメリカではI am sorryを使うのは良くないとされています。
「自分に責任があります」と言っています
昔、レストランで、ウエイトレスが私の友人に、結構盛大に、ソーダをこぼしてしまいました。すぐに拭いたり、店のTシャツを進呈したりと何とか収集を付けようとしていましたが、絶対に謝りませんでした。訴えられた時に自分の責任になるのを回避しているのです。
謝ってしまったら、何か起こった問題が、100%自分のせいだと認めてしまう事になります。
例えば交通事故を起こしたときに、I am sorryと言ったら、自分が事故の責任100%と言っているので、「100%事故の賠償金を支払うよ」と言っているのと一緒です。
アメリカは訴訟大国ですし、あまり良心とか常識とかいう物がありませんので、どこででも皆全力で戦って自分の得を勝ち取ります。
そんな所で自分の非を認めてしまうのは馬鹿以外の何物でもありません。
日本人は公正な文化があるので、ついつい自分の非も認めてしまいますが、「私はこれが悪かった」とアメリカ人に言っても、「いや、私こそここが悪かった」と言われることは100%無いと思ってよいです。相手を有利にするだけです。
両方悪い所があると思いながら、「私もここが悪かった」なんて言ったら、「OK」とか、「Apology accepted.
(謝罪を受け取った)なんて言われたら本当、腹立ちますし。
自分には能力が無いと言ってる事になります。
何か不具合があった時に、I am sorryと言うのは、自分の能力が無いと言っている事になってしまいます。なにしろ全ての責任を認めているのですから。
どんな外的な要因があろうとも、つまり好環境であろうが、天災が起ころうが、出来なかったという事です。
これを言う事で信頼も信憑性も、発言力も全て失ってしまいます。何せ能力が無いのですから。
自分の能力を主張出来ない、負け犬を宣言した事になります。
こんな理由から、アメリカ人は失敗を指摘されると、認めて反省するどころか、ひたすら外的要因(言い訳)を言ってきます。
これは、責任逃れの言い訳をしているだけではなく、「何かの要因で良い結果にならなかったが、自分には実行する能力がある。」と言っているのです。
日本人上司は、失敗をした部下に、次に同じ失敗を起こさないように認めて、謝って欲しいと思うのですが、こういう理由から、まずあり得ないでしょう。
挽回する気が無いと思われます。
I am sorryを言う事で、シチュエーションを挽回する気が無いように聞こえてしまいます。
例えば、旅行会社のミスで貴方の楽しみにしていた旅行の飛行機のチケットが取れていなかったのが直前に発覚したとします。ここで旅行会社の担当者にI am sorry.と言われたら、「ごめんなさい」と言って下を向かれているのと一緒です。
こちらが聞きたいのは、「何とかするから、待って」という言葉なのに、「ごめんなさい」で終わりにされてしまったら、たまったもんじゃありません。
では、Sorryの代わりにどういう表現を使ったらよいのか

自分の誠実さを無くす
I am sorry.は“I“を使って、自分は悪かったと誠実に言ってしまっているので、この誠実さを取り除くだけで、随分ネガティブイメージが緩和されます。
- My apologies
(お詫びです。)
I apologizeではない点に注意です。自分が悪かったと認めているのではなく、少し客観的に、私のお詫びです。と言う事で、誰の仕業なのか、ぼかしています。これによって少しだけ、自分の能力を否定する感じが弱まります。
- My bad
(私のポカ)
That was my bad.の形で良く使われます。非常にカジュアルで、「あーあれは私のポカだった」位のニュアンスです。凄く自分のミスからのダメージが少なかった様に聞こえます。
これで、自分の責任を軽くする効果があります。
主語をすり替える
一番ポピュラーな方法です。主語を自分から、Itやthatに入れ替える事で、自分を完全に責任から外しています。
- It didn’t go as planned.
(それは計画通りには進まなかった)
- It went sideways(wrong).
(それは違う方向に行ってしまった(上手く行かなかった))
- It came short.
(それは達成されなかった)
- It didn’t happen(occur).
(それは起こらなかった)
- It went the way it went.
(それは結果の様になった。)
さらにもう一個主語を噛ませる
- I regret that the thing didn’t happen.
(私はそれが実現しなかったことを後悔する)
あくまで、目的が起こらなかっただけで、それを私は後悔している。と言っているので、自分は蚊帳の外に持って行っています。
- It was regrettable that the problem occurred.
(その問題が起こったという事は、後悔すべき事だ)
この文では、私はもはや後悔もしていません。それは後悔すべきことだと言っているのです。こう完全に客観者です。
- It was unfortunate that the thing didn’t go as planned.
(それが計画通りに行かなかったのは大変不運だ。)
それは不運だったので、もはや自然災害か何かの様です。自分は全く関係ないかの様です。この、unfortunateは常套句で、会社や政府など、罪を追及されたくない人たちは常に使います。
ありがとうにすり替える
- Thank you for pointing out something came short.
(達成されなかった事を指摘して頂いて有難う)
- Thank you for letting us know that the problem occurred.
(問題が起こった事を教えてくれてありがとう)
- I appreciate your advice and that would improve the process.
(アドバイスに感謝しますそしてそれはプロセスを向上させます)
挽回する事を伝える、
これに加えて、挽回する予定を伝えるとさらにポジティブだ
- This will improve within a few days.
(これは数日中に改善します)
- I will make sure there is no interference this time round.
(私は今回は干渉が起こらないように念を押します)
こういう、自分の点数になる事には”I”を使っても良い。ポジティブですから。
外的な要因(言い訳)を述べて自分の能力不足ではない事を強調する
- It doesn’t accept my access.
(それは私のアクセスを拒んだ)
- Client’s request wasn’t very clear and that caused the delay.
(クライアントの要求がクリアじゃなかった。それが遅れを引き起こした)
Sorryを使っても良い場面
それでは、Sorryは全く使わない方が良いのでしょうか?
そんな事は無いんです。でも選んで使わないといけないですよ。
問題が軽い事ほど使ってよい
例えば、横を歩いたとき、ちょっとぶつかってしまったりとか、
人がまだいるのに間違って電気を一瞬消してしまったりとか、
そんな時は
Oh I am sorry.と言ってしまえば良いのです。なぜならば、それで責任を問われる可能性がないから。
問題が軽ければ軽いほど、謝ってよいのです。
重くなればなるほど、間接的にして責任を回避しなければなりません。
自分に被害の及ばない場合は使っても良い
これらは「哀れだ」と言っているので、全く自分に被害が及びません。
- I am sorry to hear that.
(それは大変ですね。)
- I am very sorry for you.
(貴方をとても哀れに思いますよ)
- I am sorry for your loss.
(貴方のロスに共感します)
- I am sorry for what it ended up being.
(その結末に同情します)
貴方が侍なら

こんな風に全ての避難を受けても良いかもしれません。
- I take all the blames.
(私は全ての避難を受けよう)
- I take full responsibility.
(すべての責任は私にある。)
キリスト様みたいですね。
でも、アメリカ社会では、こんな事を言うと一発で消されてしまいます。