The Helpヘルプ レビュー

面白さ

★★★★★★★★☆☆

読みにくさ

★★★★☆☆☆☆☆☆

語彙の難しさ

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

Caryの英語小説、映画レビュー:The Help ヘルプ- 心がつなぐストーリー

総評

カーチェイスも、アクションも無いのに、息もつかせぬジェットコースター小説。

ハラハラドキドキしながら全編一気に読み通せる

1960年代当時、アフリカ系アメリカ人公民権運動Africa-American Civil Rights Movementの動きが進み、それを拒む南部にも時代の波が及んできた頃。

当時の社会からはみ出した白人と、抑圧された黒人「黒人が白人の為に働くという事」を本にする事で南部の古い町Jacksonに波紋を起こす話。

当時の黒人の扱いが酷かった事も描かれており、黒人は一歩間違えればなぶり殺しになる事が分かるため、スリル満点の展開です。

話が展開するJackson Mississippiは作者Kathryn Stockettの故郷であり、彼女の家でもメイドを雇っていた事から、実話ではないにしても、自身の経験を元に想像展開したと思われます。

ただ、ストーリーは巧妙に入り混じっているので、経験だけではなく、相当プロットを熟考していると思われます。

To kill a mockingbirdでも深い南部社会が描かれていますが、本作はそれより30年ほど後。

読みどころ

抜けだせない人生の恐怖

奴隷解放の後だとは言っても、当時の黒人は白人に雇われなければ生活が出来ませんでした。

間違えて白人用のトイレを使うだけで殴り殺されたり、満足な医療も受けれず死んだり、

不当逮捕も冤罪判決も横行していました。

Billy Holidayが当時歌ったStrange Fruits(奇妙な果実)のように黒人はリンチされて気に首で吊るされて殺される現場が南部ではそこらじゅうで見られた時代。

このような全て運命を握られた時代に「黒人が白人の為に働く事」を書くとんでもないリスクを主人公3人で潜り抜けていく、「失敗したら死」というスリル。

変わっていく世の中

南部はJim Crow:人種隔離政策を依然取っていたが、世の中ではCivil right Activity公民権運動が起こり、ミシシッピ州でもJames Meredith が黒人初で白人学校に入学したりと南部でも時代が変わり始めていた。この文中でSkeeter達が書く“本”が出版に至ったのも、その流れの中だった。

はぐれ物vsポピュラーガール

容姿も悪く、周りの白人達と同調できない主人公のSkeeter、White Trash(ホワイトトラッシュ、白人でも貧乏で野蛮な生活をしている人たち)のCelia Foote、それとメイドの黒人達の、いわゆる日陰の人たちと、地域で力を握る白人のイケてる女性たち(ポピュラーガール)の対比が面白い。

主人公は町に同調できない自分を「私はTo kill a mockingbirdのBoo Radleyだ」と文中で語っている。

Caryの英語小説レビュー:To kill a Mockingbird(アラバマ物語)

事件

全ての白人家の離れに黒人用のトイレを付けなければならないような運動がおこったり、、白人と黒人の混血の扱い、そして本作のキーとなるパイの事件、次々と事件が起こる。

英語

話は白人のSkeeter, 黒人メイドのAibileen, Minnyの視点で描かれているが、メイド二人の英語は、黒人の物であり、of, to, at, haveを全てaで代用したり、否定形は全てain’t、be動詞も活用しない、現在完了形も動詞の前にdone かgoneを付ける事で済ますなど、標準英語ではない。

これを英会話スクールで喋ったら、最低クラスに落とされるかもしれない。

難しい単語はほとんど出てこないので、最初は戸惑うと思うけれども、慣れてしまえば意外とスッと入って来る。

ただ、本が気に入ったからと言って何度も何度も読み返していると喋り方の癖がうつってしまうのは気を付けた方が良いかもしれないですね。

登場人物

  • “Skeeter” Eugenia Phelan:

南部の人種隔離に疑問を持つ主人公。男顔負けの長身で、棒のような体。髪の毛は全て陰毛のような縮れ毛で、容姿が優れているわけではない。黒人隔離を推奨し、家庭に落ち着き、日々おしゃれとゴシップを繰り返す白人女性の仲間に同調出来ない。

  • Aibileen Clark:

白人女性仲間の一人、Elizabeth Leefolt家のメイド

  • Minny Jackson:

料理が上手いが、短気で言いたい事を言ってしまうメイド。19回も首になっている。最初はHillyの親のMiss Walterのメイドをしていたが、Hillyに首を切られてしまう。

  • Constantine

Skeeterの 家で雇われていたメイド。Skeeterを事実上育てた。Skeeterがドーム制の学校に行き家を離れている間に姿を消した。理由は誰も話してくれない。

  • Yule May:

HillyがMinnyをクビにした後に雇ったメイド。

  • Hilly Holbrook:

その町で一番力を持つポピュラーガール。人種差別に熱心で、また自分のグループをコントロールするのを好む。黒人に対してはいつも意地悪。

  • Elizabeth Leefolt

Hillyの太鼓持ち。あまり裕福でない。女子のソサエティーに居るのが非常に大事で、自分の子供には興味はない。

  • Mae Mobley

Elizabethの娘。実質Aibileenが育てている。

  • Celia Foote:

さらに田舎の貧乏町から来たWhite Trashホワイトトラッシュ。顔も良く、グラマー。Hillyの元ボーイフレンドと結婚したので、嫌われている。白人女性の仲間に入れて貰えない。

  • Stuwart Whitworth

Skeeterに好意を持つ石油会社のお金持ちの子供。

あらすじ

60年代、ミシシッピ、ジャクソン、まだ黒人隔離がはびこる南部州。白人女性は20代前半で結婚するのが正しい時代。主人公のSkeeterは23歳だがまだ彼氏もいない。

容姿が悪く交際経験がないので、あまり結婚を現実的に考えられない。その代わり、作家になろうと考えている。

ある日出版社に雇用応募をすると、採用はされないが、一人のエディターとのコンタクトが始まり、人が書かないような刺激的な話であれば、出版もあり得ると言われる。

Skeeterは身近で白人の友人のElizabethのメイド、Aibileenの死んだ息子が「黒人が白人の為に働くという事」の話を書こうとしていた事を知り、Aibileenに一緒に書かないかと持ち掛けるのだった。

Aibileenは最初は引き腰だったが、知り合いの黒人の青年が間違って白人のトイレを使ったことでリンチされ失明した事、また別の黒人がショットガンで撃たれて死んだことをきっかけに協力することにする。

Aibileenは友人のMinny、そして十人以上のメイドを集め、白人の元で働く黒人メイドの話を集める。それは良い話もあるし、悪い話もあった。

Skeeterは自分を育ててくれたメイド、Constantineがどうして突然姿を消したか、その酷い話もここで知る。

白人のMiss Hillyはポピュラーガールで地元の女性のボス的存在だ。友人にメイド用のトイレを家の外に作るように勧めたり、人種隔離を推奨している。

最近もメイドのMinnyが口答えをしたのでクビにしたばかり。そればかりか、町中にMinnyを盗人だと触れ回り、仕事に就けないようにした。

その仕返しに、Minnyは「ものすごく恐ろしく酷い事」をMiss Hilly にするのだった。

SkeeterとAibileen、Minny、そして他のメイドたちは極秘に本の制作を進める。出来あがり、出版社に送る直前、皆恐怖にかられる。全員匿名で場所の名前も匿名だが、もしこれが、自分達の町だとばれたらどうなるだろう?自分が書いている雇い主の白人が、これを読んで自分の事だと分かったら、どんな仕打ちをされるだろうか?なぶり殺しだろうか?

 Minnyはこれを防がなければならないと思う。自分がMiss Hillyにした「ものすごく恐ろしく酷い事」をこの本に書けば、災難を防げるだろうと思いつく。

なぜならば、MinnyがMiss Hillyにした事は「ものすごく恐ろしく酷い事」なので、Miss Hillyが全力で、それは自分の事ではない、つまりこのストーリーはこの町で起こった事ではないと言いまわるだろうと思ったからだ。

かくして、本は出版され、その町の皆が読む事になった。

今まではずっとやられて、負けてばかりだった。しかし今度こそは、もしかしてMiss Hilly、そして白人女性たちに勝てるかもしれないとAibileenは思うのだが。。。

映画

The Help - 心が紡ぐ物語

話は、小説を忠実に再現しようとしているのが分かる。

幾つかの話、Skeeterの母の病気やConstantineの真実等を抜かせば、だいたい忠実で、十分面白い

原作600ページほどある物を2時間20分にまとめなければならなかった割には上出来。

特にライティングが綺麗である。南部独特の日差しを再現していて、あの景色と光を見ただけで、あの辺の南部州である事が分かる。

「風と共に去りぬ」のような壮大な撮影ではないが、ムードがとても良く出ている。

頑張っているなとは思いつつ、主役は本当にEmma Stoneで良かったのだろうか? 本来Skeeterは容姿が悪く、白人女性のノリについていけない存在だから、メイドたちと組むことが出来たはずなのに、あんな美人がSkeeter役をやるのね。

やはり主役は美人でないといけないのか。

Skeeter のイメージ

英語的には、皆さん聞き取りにくくならない程度に南部訛りを模倣しています。本当はもっとコテコテの、南部の流れ引きずるような訛り(Southern Drawl)が聞きたかったけど。

ちょっとだけ残念な所もあったが、全体的には良く出来ている。

ただ、小説→映画の順よりも、映画→小説の順にみた方が良いかもしれない。

小説の方が事件がより辛辣だし、やっぱり噛みしめて面白い。

これを書くのに、曖昧な所を読み返したりしたが、さらにもう一度読みたくなってしまうような良作

英語で読書を始める。どんな本を選んだらよいか?

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