
企業によって従業員の待遇は随分違います。それでは、世界と比べてみてはどうなのでしょうか?給料は低すぎるのでしょうか?日本人は働きすぎなのでしょうか?
外国の支社はどういう待遇なのでしょうか?日本にある外資系の本社はどのような待遇なのでしょうか?
ヨーロッパは分かりませんので、アメリカの会社と日本の会社の待遇を比べてみたいと思います。アメリカはアメリカで特殊な国ではありますが。。。
両方務めてみた。アメリカの会社、日本の会社、条件比較
給料、残業

ブルーカラーの仕事は、アメリカでもminimum wedge(最低賃金)が設定されている様に、時間制だったり、月給制だったりしますが、基本ホワイトカラー、技術職、オフィス職を含め、年俸制です。だいたい隔週で振り込まれます。
会社よりも、職種で給料の平均が決まっています。社会が流動的なので、小さい会社も大きい会社もあまり差が出ないのですね。「小さい会社だから、これしか出せないけど、皆でいつか大きくなるまで頑張ろう」なんてことは無いのですね。
給料低かったら、競争力がないですし、仮に低い所から頑張って大きくしても、株でも持っていない限り、チョンと首切られておしまいです。
一方日本企業では

会社で給料額が決まる。
年功序列から、だんだん年俸制も増えてきて、アメリカを追っかけていますが、求められる責任に対しての対価ではなく、「仕事が出来る」とか、「仕事が出来ない」とかの評価基準が曖昧なのと、従業員によって出来る仕事の範囲が曖昧だったり、偉くなると給料は高くなるのにその分責任が上がらなかったりして、まだまだまだまだ問題を内包しています。
まだまだ違うスキルを持った人が寄り合ってプロジェクトをこなすというよりは、お家のメンバーになるという感じが強い日本企業では、職種や実力よりも、会社で給料がきまります。同じ業種でも、会社によって給料ものすごく激違ったりしますね。
実際の給料

でも体感給料は。。。低いかも。
日本よりは、一般的に高く、まともな技術職、ビジネス職で400万を下る事は新人であっても考えにくいです。(不動産エージェント等の出来高制の人は違いますよ!)
親が会社の幹部とかではなく、個人でスキルを付けて働いていく人にとっては、6 figures、6つの数字、$100,000、は成功か普通かの一つの境です。*日本円で1千百万円くらい。
John Grishamの映画化もされた小説、The Farmの主人公、Mitchは成績優秀な学生が学校卒業して初年度の年俸がこの$100,000を超えた事が一つのエピソードになっています。
アメリカ人にとっても、それくらいの額なんですね。
この様に額自体は日本よりも高いのですが、かといってアメリカ人の生活が豊かかと言われると、そんな事も無いかもしれません。
出費は日本に住むよりも圧倒的に高いからです。夫婦で一人一台ずつ車が必要ですし、医療も医療保険も高いです。家のローンは日本が1%付近なのに比べて、5~9%位です。そして学区による差が日本の比ではないので、子供が出来たら、学区が良い地域に強烈なお金を払って、住まなければならないのです。スラムの子供が通う学校に子供を通わせたくないですよね。
ロスアンジェルスに住む知り合いが、学区の為に月$3,300のアパートを借りておりました。
*日本円にすると、36万円位でしょうか。
これではいくら給料を貰っていても足りません。
それでも、アメリカの生活が優雅に感じるのは、やはりもともと土地が広いからでしょう。
土地が広く、空が広く感じるからです。これはもの凄く精神的に影響があると思います。
もう一つ大きな理由は、「アメリカ人は貯金をしません。」基本全部使い切ります。ちょっと偏見もありますが、特に一般から下層の人たちには当てはまる事だと思います。
カードが増えたら、「これでもっとローンが出来る」と考える人も少なくありません。
経済が回るように、国民にはお金を使わせるようにしているのですね。
*ただ、お金持ちはキチンと財テクしていますよ。
一方日本企業では

交通機関が発達している日本の都市部では、車が無くても生活出来ます。医療も安く、病気の心配はしても、病気で破産する心配をしている人はそんなにいませんね。
月25万円の手取りでも親子が暮らしていける素晴らしい国です。
しかし、どうしてこう日本にいるとみみっちく感じるのでしょうか?
それは、やはり土地の狭さですかねー。湿度も関係している気がします。
休日

有休(PTO)が年に12~20日
実はアメリカの祝日の数は日本に比べると全然少ないのです。
また、アメリカ人は沢山バケーションを取っているような気がしますが、アメリカ社会では自分の予定で休みを取るので、アメリカ人はいつも「バケーション取ります」と言って休んでいる気がするのです。また有休の事をバケーションと言うので、フランス語のバカンスを彷彿させ、凄く優雅な生活をしている気がするのです。
一方日本企業では

有休は年に12~20日
日本人は働きすぎなんて言っている人もいますが、年間の祝日は、なんと22日もあります。土日と重なると消滅するので、例年17日、プラス大体会社では正月三が日はお休みになるので、平均、19日の祝日を頂いているという事ですね。
休みの日からすると、アメリカに比べれば随分優雅なのですね。
条件が悪くないのにもかかわらず、自由な気がしないのはやっぱりサービス残業だったり、土地の狭さだったり、受験戦争だったり、湿度だったり、するのでしょうかね。
年金

企業では、401kが導入されている事が多いです。401kというのは、給料の一部を税引前の金額で、59歳まで投資に回す事が出来るプランです。税引前の金額で投資する事で、本来は税金で引かれてしまう金額も、利息を得る事が出来る節税プランなのです。
こういうプランがある事から、アメリカ人は若いうちから投資について学ぶことが出来るようになっています。
企業によっては、例えば従業員が給料の3%を401k投資に回したとしたら、その分matchしてくれる所もあります。Matchというのは、会社が3%と同じ金額を投資に「上乗せ」してくれるのです。素晴らしいベネフィットですね。
アメリカもソーシャルセキュリティーという、日本でいう所の国民年金の様な物がありますが、それだけでは十分ではありません。そして、みな401kやIRAのようなプランを使って、将来の為に投資していくのです。
一方日本企業では

毎月給料明細を見るたびに、年金控除の金額にびっくりします。こんなに払って本当に老人になった時に貰えるのでしょうか?
ほぼ強制的に支払う事になるので、せめて払った分は貰いたいものです。
日本人もアメリカ人の様に投資して自分で老後のお金を確保しなければいけない時代がきたのですね。
健康保険

健康保険は、基本は会社が従業員用に用意する物で、給料と並んで重要な条件です。
アメリカは信じられないくらい医療が高く、健康保険も高額で、真剣問題です。会社が用意するプランによって、保証額もかかれる医者の種類も変わるからです。
会社によっては、社員に長期間居て貰うために、給料は抑えて、健康保険を厚くする会社もあります。
ザクっとした数字ですが、家族三人で個人で最低限機能する健康保険を買うと、月10万以上、それでも医者でのチェックアップ程度で数万円ずつ取られていきます。大きな治療はとてもできません。そしたら、健康保険に入らなければよいじゃないかと言われそうですが、健康保険に入っていない期間があると、その後入っても、半年間は払うだけで、お金は下りないのです。
ですから、高い保険を払い続け、病気になってもまた高額のお金を払う、という怖い生活になります。
このような事から、会社で付与してくれる上質の健康保険は魅力なのです。
一方日本企業では

素晴らしい健康保険
日本の医療は安いです。私は日本である手術を受けましたが、アメリカだったら、金額が100倍を超える所でした。
レベルの高い医療を安価で受けれる。それだけで随分安心ですが、国民健康保険、健康保険も安価でしっかりカバーしてくれます。
「病気になったら破産する」とおびえている人はあまり見ませんが、それだけで、実はものすごく幸せな事なのです。
*この点、日本が素晴らしいというよりも、アメリカがおかしいと思うべきでしょう。先進国の中で国民健康保険か、それに代わる物が無いのはアメリカだけです。
