
海外日系企業にて
「こんな事出来る?」
「はい。出来ます。」
出来ると面接で言ったのに、雇ってみたら、全く経験もスキルもなく、出来なかった。
「この日までにこれが出来る?」
「はい。出来ます。」
というから、大丈夫だろうと思っていて、
締め切り直前に見に行ったら全く出来ていない。
「出来ないの?」「出来てないの?」と聞いてみたら、アメリカ人お得意の「言い訳」が始まる。
駐在さんから良く聞く話です。

出来ると言って出来ないアメリカ人。
どうしてアメリカ人は出来もしないことを出来ると言うのでしょうか?
さて、まず上の会話、英語で聞いてみましょう。
Can you do this?
Yes, I can.
Can you get this done by this day?
Yes, I can.
そうです。Canの捉え方に大きな違いがあるのです。
日本人はCan(出来る)をこの様にとらえます。
I vouch for that to you.
私はそれを保障します
I assure you that will happen.
私はそれが起こる事を保障します。
日本人がやってしまう米国企業面接での間違い にもありますが、日本人は100%出来る保障が無ければ、「出来ます」とはなかなか言いません。
難関を「出来ます」と豪語したら、周りがザワッとなりますよね。成功したら良いですが、失敗したら、「出来ますと言っておいて出来なかった」とさんざん叩かれます。
落とし前はどうつけるんだ?となじられます。
出来ますDEKIMASUというワードには”pledge”強い誓いが込められているのです。
しかし、アメリカ人はこのCanをこの様にとらえています
I bet I have an ability to make this possible.
私はこれを可能にする能力を持っていると賭けることが出来る。
I am a person with enough positive attitude to take that challenge.
私はそのチャレンジを受けるだけ十分に前向きな態度を持っている。
I think that is a challenge that I am willing to take!
それはチャレンジですね。やってみましょう。
オバマ大統領の政治キャンペーンを覚えているでしょうか?

キャッチフレーズはYes, we can! Change we believe in.でした。
彼は選挙時に国民に100%保障assureしていたでしょうか?していません。意欲と、希望と可能性を謡っただけです。
彼は任期中に全ての公約を果たすことが出来た訳ではありませんが、別に落とし前も付けていません。
ただ、当時のYes, we can.という意気込みが彼を初の黒人大統領に押し上げたのでしょう。
Canとはそういう単語です。それ以上でもそれ以下でもありません。
Can you do it? と聞かれたら、もちろん、Of course I can do it.と答えます。
もしアメリカ人が日本のDEKIMASUを言いたければ、vouch, assure, guarantee, などの保証する言葉を使うでしょう。
もしこちらが質問の言葉を変えて、
Do you guarantee that you are going to deliver this?
貴方はこれを提出するのを保障できるか?と聞いたら、おそらく
Oh I don’t know until…とか
I will know when…とか、お茶を濁すでしょう。
Can't は シャットダウン。 拒絶
逆にアメリカ人に言わせたら、Can you(we) do this? にI(We) Can’tで答えたら、相手の要求に対してシャットダウンしているような拒絶です。
面接の時にCan you do it?と言われたら、面接官が望んでいる事に対して拒絶なんかしません。I can do it!(もちろん全力で希望をもって頑張ります!)と答えるでしょう。
仕事で上司にCan you do it by when? (いついつまでにこれが出来る?)と言われたら、自分の実力なりに「もちろん頑張ります!」「チャレンジします」「I can do it!」と言うのが社会人ってもんです。
そして、アメリカ人は個人の仕事、テリトリーを侵害する、されるのを極端に嫌いますから、その後、上司の「どうしてる?うまくいっている?」「大丈夫?間に合ってる?」の問いかけに、sure. It’s coming along. いい感じでまとまってきます。There is no problem.問題はないです。
と答えます。

そして締め切りが近づいてくると、
- パニクッて、言い訳をする、誰かのせいにする、
- 結局あがらないけど、家庭が大事だから帰ってしまう
これが、「出来ると言って出来ないアメリカ人」の正体です。
それではどうしたら良いのか?
リマインドではなく、内容把握する。
This is the deadline that absolutely has to be met.
(この締め切りは絶対に守らないとダメな物なのだ)
It‘s essential that we meet this deadline.
(この締め切りを守る事が必須だ)
等リマインドするのも良いのですが、結局すべて本人次第なので、何か違った結果になるとは思いにくいです。結局大丈夫とずっと言われて、最後にダメだったとなりそうです。
上司としては、何が起こっているのか、逐一知っておきたいので、Please inform me everything at every significant phases.(重要なフェーズですべてを報告するように)と言いたい所ですが、100%マイクロマネージだと文句を言われ、やる気をなくされるので、
★How will you keep me posted?(貴方はどのように私に報告したいですか?)
と聞くのが、相手に報告のやり方を創造させているので、反感を買いにくく、マイクロマネージにならずに進捗を聞き出すことができるかもしれません。
★Do you foresee any roadblocks?(今予想できる障害はあるか?)
これは、部下を疑っている訳ではなく、能力を頼っているので、ポジティブですし、この時点で障害を予想してもらうため、責任を少し乗せる事が出来ます。
★Please let me know if there is any hint of roadblocks or red flags as soon as you notice.(どんな障害や警告も気づき次第知らせてくれ)
これも、気が付いたら知らせてくれるよう、部下の能力に頼っているので、印象が悪くないはずです。
★That’s your responsibility.(それ(知らせるのは)は君の責任だからな)
これは少しきついですが、障害が出てきたら、知らせるのは当然ですから、このくらい明確にしても良いでしょう。きつすぎると思ったら、That’s something I am counting on you.(そこは君を頼りにしてるし)を試してみたらいかがでしょう?
如何でしょうか?
いずれも、妙にせっつく訳でもなく、順調ではなくなってきた時に報告の仕方を仕事の責任に乗っけています。しかもわりにクリエィティブになれるようにしているので、しつこい感じも、マイクロマネージの感じも避けながら、向こうからの報告を強要しています。
安心する前に
おそらくこれは有効ですが、一つ考え直してみてほしい事があります。
これらをアメリカ人部下に頼んで、報告を聞いたとき、貴方は内容を理解できますか?
例えばこれがエンジニアリングの事だったり、マーケティング、セールス、各々専門分野だった場合、それが理解できるでしょうか?
理解できなければ、進捗を理解する事が出来ないでしょうし、遅れているとしても、どう対応して良いのかわからないでしょう。
それはおそらく、貴方の職種でその人、もしくは部署を管理するべきではないのです。日本人が出向になると一ランク役職が上がる傾向がありますし、海外拠点と言うことで、必ずしもスペシャリストではなく、総合職の方が現場を管理しに出向く事があります。
これだと、例えばエンジニアのチームからの遅れの報告を聞いても、総合職ではどうにもなりません。
当然、エンジニアの面接の際にもcanと言われても何もわからないですよね。
それは、リードエンジニアの役職が足りていません。
アメリカ人が貴方をなめる理由の一つが、貴方は彼らをリードする力が無いと思っているからです。仕事の重要性だけ訴え、内容をきちんと精査、評価、判断できないわけですから。
この場合は、自分で何とかしようとするのではなく、リードエンジニアの採用を考えましょう。
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